1. AI時代の営業フロー、見落としている「あの場面」
AIの進化で、営業の現場も変わりつつあります。
最初のコミュニケーションは簡略化
電話やメール、チャットといった一次コミュニケーションは、AIが代行し始めました。
- リード獲得:問い合わせフォームの自動返信
- 初回アポ設定:AIカレンダー連携
- 簡単な問い合わせ対応:チャットボットが即答
営業が直接関わる前の段階が、どんどん自動化されています。
対面時はリッチで視覚的な資料
商談の場では、Claude ArtifactsやGemini Canvasで作った「動く資料」が活躍します。
- インタラクティブ:クリックで動くグラフ、絞り込み機能
- 視覚的:Webデザインのような美しさ
- 簡潔:数分で作れる
このまま営業は少しずつフェードアウトしていく職種なのか…
AIと共に判断することにフォーカスが当たるのみなのか…
ところが、そう簡単な話ではない
アポイントやクロージングといった営業の花形部分でのAI活用に注目されがちですが、案件獲得の重要なもう1つのパーツ「フォローアップ」の観点が欠けています。
お中元や御歳暮、年始のご挨拶、手書きの案内状、御用伺い。
廃れつつあるとされるこれらの手法が、今もなお消えないのはなぜでしょう?
CRM・SFA・MAでも消えない理由
CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティングオートメーション)といった追客ツールが生まれ、早10年以上が経過しました。
一定の効果は認められているものの
- なお実装していない企業が多数存在する
- 圧倒的な優位性を持つ手法が生まれない
なぜか?
そこに人の温もりや顔が見えない限り、判断・商談を進めない層が、常に少なからず存在し続けているからです。
フォローアップ・掘り起こし・アップセル時に必要なもの
商談後のフォローアップ。休眠顧客の掘り起こし。既存顧客へのアップセル提案。
もちろんAIによってよりロジカルに、よりオートメーション化されてはいくでしょう。
ただし、こんな顧客層が常に存在します。
- 商材・サービス知識は既にある
- 初期コミュニケーションは簡略化したい(メール・チャットで十分)
- 最終稟議時は簡略化されたドキュメントとリッチな訴求資料で十分
でも、常に意識され、好感を持ち続けられる継続手法を求めている。
その答えの1つが「動画」なのかもしれません。
動画の優位性
- メール本文で再生されやすく、開封のハードルが低い
- 2〜3分で要点が伝わる(テキストなら3,000字相当)
- 顔出しなしでも声で人間味が伝わる
圧倒的な情報量にも関わらず、人間性が感じられ、情報の受け手側が負担に感じない、数少ない手法なのです。
なぜGoogle Vidsを「敢えて」取り上げるのか
今回は、営業の現場ではまだそこまで馴染みがない動画生成ツール、そしてツールの中でもそこまで知名度が高いとはいえないGoogle Vidsというサービスを敢えて取り上げます。

理由は2つ
- Workspace完結で、営業が使うツールだけで動画が作れる
- 英語版では既にAIナレーション自動生成まで可能(日本語版への展開も期待できる)
CanvaやPremiere Proではなく「Workspace内で完結する手軽さ」が、これからの営業のフォローアップ・掘り起こし・アップセル時の動画には「ちょうどいい」のです。
聞いたことないな?と思われた営業の方も、このイントロで少し関心が湧きましたらぜひ最後までお付き合いください。
2. なぜ「Canva」ではなく「Vids」なのか?
Google Vidsは、Googleが提供する動画編集ツールです。
動画編集ツールは数多くある
もちろん、世の中には様々な動画編集ツールがあります:
- Canva、MiriCanvas:デザインスライドや簡単な動画が作れるAI系サービス
- Premiere Pro、Final Cut Pro:プロが長く使ってきた高機能ツール
- Loom、Clipchamp:画面録画・簡易編集に特化
デザイン性やエフェクトの豊富さといったクリエイター目線では、それらの専門ツールに今回紹介するVidsは現時点での機能は及びません。
では、なぜVidsを取り上げたのか?
それは、営業がこの「フォローアップ動画」に求める条件が、そもそもクリエイティブの世界とは違うからです。
営業が求める3つの条件
1. Workspace完結であること
Google スライド、ドキュメント、ドライブからシームレスに連携したい。
営業の現場では、以下のような「面倒」が常に発生します。
そしてこのような成果と無縁な、ツールにまつわる「面倒」をもっとも嫌う職種でもあります。
- 別ツールにログインする手間
- ファイルをダウンロード → アップロードする手間
- 共有リンクなどの複雑な権限設定
Vidsなら、Google Vidsの初期画面からGoogle スライドというボタンを押下するだけ。
作った動画ファイルはいつものGoogle ドライブです。
2. 5分以内で作成可能であること
高品質な編集より、作成の速さが求められます。
商談後のフォローアップ、休眠顧客の掘り起こし、既存顧客へのアップセル提案。
自身がここだと思うタイミング、自身が納得できるクオリティで送付したい。
Vidsなら
- スライドインポート:1分
- トランジション自動付与:自動
- 手動録音(日本語ナレーション):お好みで
- BGM追加:お好みで
営業の匙加減で時間を管理でき、あっという間にフォローアップ動画が完成します。
3. 人間味が伝わること
顔や声といった視覚・聴覚で人間味を伝えることが重要です。
どんなにAIによって精密にパーソナライズされても、CRM・SFA・MAで自動送信されるメールは、受け手も「自動だな」と分かります。
でも、動画なら
- 声で人間味が伝わる(顔出しなしでも)
- 「わざわざ動画を撮ってくれた」という特別感
- 2〜3分の短さが「負担感」を減らす
仮に顔や声の部分をAI生成のものに置き換えたとしても、営業が少し手を入れ続ける限り、受け手はそれを「敏感に」感じ取ります。
Vidsは「ちょうどいいツール」
日本の中小企業の営業現場を支えているGoogleのサービスであるGoogle Vidsは、この3つを満たす「ちょうどいいツール」なのです。
ハイクオリティなデザインは不要。
Workspace完結で、ぱぱっと作れて、人間味が伝わる。
それが、フォローアップ・掘り起こし・アップセル時の動画に求められる「ちょうどいい」なのです。
3. 機能先行の英語版は「スライドを放り込むだけ」で動画が完成する
この「ちょうどよさ」を理解するために、まず「Vidsが本来目指している姿」=英語版の衝撃的な機能を見てみましょう。
Googleアカウントの個人情報から「ウェブ向けの全般設定」の「言語」設定を英語に変更すると、Workspaceユーザーの読者の方は、英語版のVidsを体感できます。
「Include AI voiceover, script, and background music」機能の衝撃
英語版では、Google スライドをインポートする際に「Include AI voiceover, script, and background music」のトグルをONにするだけで、以下の処理が全自動で行われます。
- 日本語スライド → 英語翻訳 → AIナレーション自動生成
- BGMも自動付与
- トランジション・タイミング調整も自動

実際に試してみた
12ページの日本語スライド(「できる中途営業だからこそAI時代に行いたいオンボーディング実践法」)をインポートしました。
結果
- 日本語スライドが完璧に英語翻訳された
- AIナレーションが自動生成された(7種類の声から選択可能)
- BGMも自動で付いた
- 所要時間約5分で3分程度のプレゼン動画が完成

NotebookLMで音声精度を確認
生成された動画ファイルをNotebookLMにインポートし、音声を確認したところ、英訳の精度は非常に高く、自然なナレーションでした。
専門用語(「オンボーディング」「中途採用」など)も正確に翻訳されており、ビジネス文書としても十分なクオリティです。

さらに「AIアバター」機能まで実装されている
英語版には、生成されたナレーションに合わせたAIアバター(顔出し)機能も実装されています。
- 12種類のアバターから選択可能
- リップシンク(口の動き)も自動生成
- 週20回まで無料で利用可能(各30秒まで)

単なるGoogle スライドが動画化されただけなのに、これだけ人間味あふれる要素が追加できる。
- 声:自然なAIナレーション
- 顔:リップシンク付きアバター
- BGM:シーンに合わせた音楽
これが2025年11月時点の英語版の実力です。
海外営業向けのキラー機能
この機能は、海外営業にとってはキラー機能と言えます。
- 日本語の提案書 → 英語プレゼン動画が5分で完成
- 多言語展開する企業にとっては時短効果大
- グローバルなフォローアップ・掘り起こし・アップセルに最適
ただし、日本語版には未実装(2025年11月時点)
残念ながら、このAIナレーション・アバター機能は、現時点では英語のみ対応です。
4. AIによる自動化が限定的な日本語版だから今使うべき魅力
日本語版未対応の主な機能
日本語版も同様にGoogle スライドの自動読み込みは可能です。
読み込み後、シーンの切り替え(トランジション)は自動的に付与され、最低限の動画の形になります。
- BGM・ナレーションの自動付与
- アバター
- 動画素材のAI生成
編集部調べ:Google公式 Google VidsのAI機能について
「AIで自動化できないなんて…」と百戦錬磨の営業は思わない
「だって営業のフォローアップにそこまでの機能要らないでしょ?」
Alrightの読者の方々はそう思われたかもしれませんね。
正解です。
そもそもAIで全て自動化された内容の微調整の方が現時点では大変です。
イントネーションが違う…声音が変だ…
そもそも自分じゃないAIアバターの解説動画、見込み客にいきなり送れませんよね。
英語版は「ここまで来たか!今後もっと営業が使えそうなものになるかもな!」と確認いただきたいだけであって、そもそも営業が使いたい動画ツールとしては、既に日本語版で満たせているのです。
私たちが動画を送りたいのは「フォローアップ・掘り起こし・アップセル」の相手です。
前述した通りハイクオリティな動画で褒められたいわけではないのです。
「あなたのために時間を割いた」という人間味が欲しいのです。
Workspace完結の手軽さ +「手動録音」の価値
日本語版Vidsでは、AIナレーションが使えない代わりに「録音」機能を使います。
- Google スライドからワンクリックでインポート
- 「録音」ボタンを押し、スライドを見ながら5分程度で日本語ナレーションを手動録音
- 「録画オプション」から「カメラ」を選ぶと自身の映像とナレーションの録画も可能
- ファイル管理もGoogle ドライブで完結

実際のフォローアップメッセージ例
たとえば、こんな使い方ができます。
商談後のフォローアップ
〇〇様、先日はお時間いただきありがとうございました。
特にこの部分(スライド3枚目)ですが、御社の課題に対して、こういった解決策をご提案できます…
休眠顧客の掘り起こし
〇〇様、以前お話しさせていただいた△△ですが、新しい機能が追加されました。
特にこの部分(スライド5枚目)が、御社の業務効率化に役立つかと思いまして…
既存顧客へのアップセル提案
〇〇様、いつもご利用ありがとうございます。
今回、新しいプランをご紹介したく、動画を作成しました。
特にこの部分(スライド7枚目)が、御社にとってメリットが大きいかと…
営業担当者自身の映像と声で語りかける方が、当然ですが人間味とロジックが伝わります。
Google Vidsは既に営業がフォローアップとして使える十分なクオリティを持ったツールであると言えます。
5. まとめ:フォローアップ・掘り起こし・アップセルに「ちょうどいい」動画を使おう
AI時代の営業フローで見落とされがちなのが「フォローアップ・掘り起こし・アップセル時」の継続的なコミュニケーションです。
この場面では、CRM・SFA・MAの自動化だけでは不十分。
「あなたのために時間を割いた」という人間味が必要です。
その解決策の1つが「動画」。
そして、Google Vidsは営業がフォローアップ動画を作るのに「ちょうどいい」ツールです。
Google Vidsが「ちょうどいい」理由
- Workspace完結:営業が使うツールだけで動画が作れる
- あっという間に自身で作れる:スライドインポート → 手動録音 → 完成
- 人間味が伝わる:自分の声と顔で語りかけられる
英語版では既にAIナレーション・アバター機能が実装されていますが、日本語版の「限定的」な機能でも、営業のフォローアップには十分です。
むしろ、AI自動化の微調整の方が大変。
手動録音で「あなたのために時間を割いた」という人間味を伝える方が、営業には効果的です。
お中元・御歳暮が消えない理由と同じ
セクション1で触れた、お中元や御歳暮、年始のご挨拶、手書きの案内状。
これらの手法が今もなお消えないのは、「わざわざ時間を割ってくれた」という人間味が伝わるからです。
動画も同じです。
AIで全自動化された完璧な動画より、営業担当者が5分で手動録音した「ちょうどいい」動画の方が、受け手に「人間味」が伝わります。
まずはスライドを1つ、動画にしてみよう
フォローアップメッセージ、商品説明資料、アップセル提案。
どれか1つ、動画にしてみてください。
ハイクオリティは不要。
「ちょうどいい」が、最強の差別化になります。
「動画=難しい」「ハイクオリティじゃないとダメ」という思い込みを捨てて、今から慣れておきましょう。
営業の本質(顧客と話す、信頼を掴む)に時間を使うために、ドキュメント作成は「ちょうどいい」で十分です。
日本語版に英語版の機能がまだ適用されていない今が差をつけられるチャンスかもしれませんよ。
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