1. 1on1を「学習の場」に変えるコツ
1on1って、つい「進捗確認」や「困りごとの相談」で終わってしまいがちです。
でも本来は、営業の学習サイクルを早回しするための時間。
ただの「報告会」にしてしまうのはもったいないんです。
👉 基本は「30分×3ブロック」
たとえば自転車の練習を思い出してください。
最初に「今日は何分こげたか」を確認し(=事実)、うまくいった・転んだ理由を一緒に考えて(=解釈)、次は「坂道を試してみよう」と一歩進める(=実験)。
1on1もこれと同じで、30分をこう区切るとスムーズです。
- 10分|事実を確認:「先週の商談で何があった?」を数字や出来事でサッと整理
- 10分|意味を掘る:「うまくいった理由・つまずいた理由は?」を一緒に言語化
- 10分|次の一手を決める:「来週これを試してみよう」を1つだけ設定
✍️ 記録は「3行」で十分
長い議事録は不要です。
メモはこんな感じでOK。
- 事実:商談2件成約
- 解釈:議事の最初に合意を取ったのが効いた
- 実験:来週は全商談で冒頭3分に「合意フレーズ」を入れる
💡 AIでサクッと整理するなら…
1on1のメモを貼るので、「事実/解釈/実験」の3行に整理して。
さらに次回チェック用の確認ポイントを3つ出して。
と投げれば、AIが即座に「次回の台本」を返してくれます。
こんな感じで、「理論」→「たとえ」→「すぐ試せる型」という流れにすると、読みながら自分の1on1に当てはめやすくなります。
2. SLII®で「新人・中途・ベテラン」の関わり方を切り替える
SLII®(Situational Leadership II)は難しく聞こえますが、要は「相手の経験値に応じて、教え方を変えましょう」という考え方です。
新人に任せきりは危険ですし、ベテランに細かく指示するのも逆効果。
ハンドルの切り方を変えるだけで、1on1の効き目がぐっと増します。
👉 クイック診断(3つの質問)
相手がどのタイプかは、以下を1分でチェックすればOKです。
- 同じタスクを一人で再現できる?
- 自分の課題を自分の言葉で説明できる?
- 失敗しても気持ちを切り替えられる?
- 「はい」が0〜1個→新人寄り(D1/D2)
- 「はい」が2〜3個→自律寄り(D3/D4)
🧑🎓 新卒(D1タイプ:やる気◎・スキル△)
- 関わり方:手順を明確にし、小さな成功を早めに体験させる
- 声かけ例:「まずは私がやるのを見て→あなたが真似して→来週は1人でやってみようか」
- 宿題:「自分の行動を箇条書きにして、効いたポイントに★をつける」
👩💼 中途(D2タイプ:やる気が揺れやすい)
- 関わり方:つまずきポイントを一緒に分解し、励ましつつ前進
- 声かけ例:「どこで止まる?その直前の準備を強化するとしたら何ができそう?」
- 宿題:「自分がつまずいた場面の手前5分を準備チェックにまとめる」
👨🏫 ベテラン(D3/D4タイプ:自律◎)
- 関わり方:問いを投げて、自分の知見を人に渡す形に変えてもらう
- 声かけ例:「あなたの暗黙知を、後輩に10分だけ教えるなら何を渡す?」
- 宿題:「後輩向けに場面→一言フレーズ→失敗例を1枚にまとめる」
💡 AI活用で台本を作るなら
対象者:中途3ヶ月目。商談準備でよくつまずく。
SLII®のD2タイプとして、30分1on1の進め方と“来週の小さな実験”案を3つ作って。
と投げれば、AIがその人に合った1on1台本をつくってくれます。
👉 こうして「新人=補助輪」「中途=伴走」「ベテラン=後輩に道を示す」くらいのイメージで関わりを変えると、同じ30分でも学習効果がまるで違ってきます。
3. GROWで「提案営業」と「ルート営業」の目標を変える
GROWは「Goal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→Will(行動)」という順番で話を整理するフレームワークです。
要は、「来週なにをするか」をシンプルに合意するための会話の型。
ポイントは「大きな理想」ではなく、「すぐ実行できる一手」で終わることです。
👉 実務版GROWの質問リスト
- Goal:来週末に何ができていればOK?(数字や行動で言わせる)
- Reality:今はどこで止まってる?(相手や場面を特定する)
- Options:できる方法を3つ出してみよう(コスト最小の案も含める)
- Will:じゃあ明日、カレンダーに入れる一手は?
💼 提案営業での例
- Goal:一次提案のアポ日程を40%以上確定させたい
- Reality:断られる理由は「まだ比較検討の段階だから」
- Options:
- 事前に「比較軸テンプレ」を渡す
- ヒアリング後に比較表をその場で作成する
- 既存導入社の匿名データを1枚提示する
- Will:今日中に「比較軸テンプレ」のDM文面を作り、明日3件送付する
🛠 ルート営業での例
- Goal:定期訪問での追加受注率+10%
- Reality:在庫都合で「また今度」と先送りされることが多い
- Options:
- 在庫×納期の3パターン見積を事前に出す
- 前回使用量から枯渇予測コメントを加える
- 「上申用の1枚資料」を毎回用意する
- Will:次訪問先の商品で、3パターン見積の雛形を先に作っておく
💡 AIでサポートするなら
この1on1のメモをGROWで整理して。
Goal / Reality / Options / Will に要約して、さらに「Will」を実行するためのDM文面を100字で提案して。
👉 提案営業は「アポ確定率アップ」みたいに前へ進める工夫を、ルート営業は「追加受注率アップ」みたいに機会を逃さない工夫を追加することで、GROWを使えば、それぞれの営業スタイルに合った目標設定ができます。
4. SCARFで「リモート1on1」の安全性を守る
対面よりもリモートの1on1って、ちょっとした一言や空気感でぎこちなくなりやすいですよね。
そこで役立つのが SCARFモデル。
これは人が「安心できる/不安になる」要因を5つに分けた考え方です。
- S(Status)地位感:一方的に話すと、相手は劣等感を抱きやすい
- C(Certainty)予見可能性:議題が曖昧だと不安が増す
- A(Autonomy)自律性:宿題が「命令」に聞こえるとやる気が下がる
- R(Relatedness)関係性:雑談ゼロは距離感が広がる
- F(Fairness)公正さ:評価と学習を同じ場でやると警戒される
👉 前日のひと言メッセージで安心感を作る
リモートだと、「これは評価の場じゃないよ」と事前に伝えるだけで心理的ハードルが下がります。
例:前日15時送信のチャット
明日の1on1は学習回(評価なし)です。
議題は①先週の小実験の結果 ②来週の一手。
先に観察ログを3行だけここに貼っておいてください。
👉 当日の運営チェックリスト(5つ)
- 冒頭2分の雑談:「最近の良かったこと」を1つ共有
- 目的の確認:「今日は学習回です」と改めて伝える
- 相手の発言を先に:最初の5分は遮らず聞く
- 画面共有は相手優先:自分の手元ではなく、相手に操作してもらう
- 宿題は選択肢にする:「AとB、どちらに挑戦したい?」
💡 AIでトーン調整するなら
この1on1の案内メッセージを、「自律性」「公正さ」「予見可能性」が伝わるように丁寧なトーンにリライトしてください。
👉 ちょっとした工夫ですが、リモート1on1での「安心感の差」は大きく、相手が「ここは評価じゃなくて学習の時間だ」と感じれば、素直に本音や失敗談を出してくれるようになります。
5. 運用ルール:頻度・ログ・ダッシュボードをシンプルに
せっかく1on1を始めても、運用がバラバラだと「やってるだけ」になってしまいます。
大事なのはシンプルで続けやすい仕組みを作ること。
👉 頻度の目安
- 立ち上げ期(新卒・中途の序盤):毎週30分
- 安定期(成果が回りだしたら):隔週でOK
無理に毎週続けて「雑談で終わる」よりも、必要な時期に集中する方が効果的です。
👉 ダッシュボードは「営業KPI × 学習KPI」
1on1の効果を見える化するなら、営業数字だけでなく「学習の進み具合」もチェックしましょう。
- 営業KPI:アポ獲得数、成約率など
- 学習KPI:実験を実行した割合(Willをやったかどうか)
例:「今月は実験実行率70%→成約率も伸びてきた」みたいに、学習と成果のつながりを見ていくと腑に落ちます。
👉 ログは3行+チェック項目で十分
NotionでもGoogleドライブでも、形式はシンプルでOK。
テンプレ
- 日付:
- 事実:
- 解釈:
- 実験(来週の一手):
- 次回チェック項目:□/□/□
チェック項目があると「宿題やったかどうか」がひと目で分かります。
💡 AIでまとめるなら
今月分の1on1ログを5件貼ります。
「学習の傾向」を3行で要約して、来月の共通テーマを1つ提案してください。
と投げれば、チーム全体の「学びの流れ」をAIが整理してくれます。
👉 要するに「毎週やる」より「型を守って、必要なときに濃くやる」がポイントで、ログもKPIも欲張らず、「3行+チェック項目」の最小単位で回していけば十分です。
6. よくあるつまずきパターンと対処法
1on1を続けていると、ありがちな落とし穴にハマることがあります。
ここでは現場でよくある4つの失敗パターンと、その解決法を整理しておきます。
❌ パターン1:ただの情報共有会になってしまう
- 問題:「今週はこれをやりました」で終わって学習につながらない
- 対処:「これは“学習回”です」と冒頭で宣言/進捗報告は事前にチャットで済ませる
❌ パターン2:毎回やることがバラバラ
- 問題:テーマが変わりすぎて、学習サイクルが積み上がらない
- 対処:30分は型固定(事実→解釈→実験)、実験は1つだけに絞る
❌ パターン3:宿題が続かない
- 問題:その場では決めても、次回までに実行されない
- 対処:Will(行動)はカレンダーに入れる一手まで具体化する
❌ パターン4:評価とごっちゃになる
- 問題:フィードバックが「評価」に聞こえ、相手が本音を出せなくなる
- 対処:評価回と1on1(学習回)を分ける。同じ週に重ねないのが鉄則
👉 「進捗共有は外出し」「型を守る」「行動は日程に落とす」「評価と混ぜない」という、この4つを押さえるだけで、1on1は学習サイクルとしてグッと回り出します。
7. まとめ
営業の1on1は「雑談や進捗確認」ではなく、学習サイクルを早める場として使うのがポイントです。
今回紹介した3つのフレームワークを押さえておけば、どんな相手とも効果的に向き合えます。
- SLII®:新人・中途・ベテランで関わり方を切り替える
- GROW:提案営業とルート営業、それぞれに合った目標を設定する
- SCARF:リモート1on1でも心理的安全性を守る
どれも「難しい理論」ではなく、現場でそのまま使える型にすればシンプルです。
たとえば「30分を事実・解釈・実験の3ブロックに分ける」だけでも、1on1の質は大きく変わります。
👉 大事なのは「来週の一手を決める」こと。
小さな実験を積み重ねていけば、営業チーム全体の学習速度は必ず上がります。