NotebookLM音声解説の失敗しない使い方｜営業・新人育成に効く「焦点カスタマイズ」と実践プロンプト

1. 商談前の準備が心もとない…そんなときに

「明日の商談、新製品の説明あるんだけど…」
営業の現場では、商談直前になって「あれ、この製品の詳細、ちゃんと理解できてたっけ？」と焦る場面が珍しくありません。

カタログをざっと読んだだけで、説明の自信がない
競合製品との違いを聞かれたら、うまく答えられるか不安
移動中の電車で資料を見ようとしても、満員で開けない
新人に商品知識を教える時間が取れない

とくに、複数の商材を扱う営業担当者や、次々と新製品がリリースされる業界では、「知識のアップデート」が追いつかず、商談の質が落ちてしまうことも。

営業トレーニングの時間は、常に不足している

そんな悩みを解決するのが、NotebookLMの音声解説（Audio Overview）機能です。
営業資料や商品説明資料をアップロードするだけで、AIが自動的に音声解説を生成。移動中や隙間時間に「耳で学ぶ」ことで、商談前の予習や新人育成を効率化できます。
サービスリリース直後から、ラジオ番組風に解説してくれるAI時代の新サービスとして、非常に脚光を集めたNotebookLMの目玉機能を改めて解説していきます。

2. NotebookLMの音声解説が営業トレーニングに最適な理由

NotebookLMの音声解説（Audio Overview）とは？

NotebookLMは、Googleが提供する無料のAIノートツールです。

複数の資料（PDF、Google ドキュメント、スライド、スプレッドシート、Webサイト、YouTubeなど）を読み込ませると、AIが内容を要約したり、質問に答えたりしてくれます。

その中でも音声解説（Audio Overview）は、アップロードした資料を元に、2人のAIホストが会話形式で解説してくれる機能です。

営業トレーニングに最適な理由

移動中に学習できる：電車、車での移動中に音声で学べる
会話形式で理解しやすい：一方的な説明ではなく、対話形式なので頭に入りやすい
資料を読む時間が不要：PDFやスライドを開かずに、音声だけで内容を把握
新人育成にも活用：商品知識を音声コンテンツ化して、チーム全体で共有
無料で使える：Google アカウントがあれば誰でも利用可能

3. 実際にやってみた：営業資料を音声解説化してみる

検証シナリオ

今回は、架空の「クラウド営業支援ツール」の営業資料をNotebookLMにアップロードして、音声解説を生成してみました。

📄 使用した資料

製品カタログ（PDF）
競合比較資料（Google ドキュメント）
導入事例（スライド）

✅ 目的

新人営業担当者が、移動中に製品知識を学べるようにする
商談前の30分で、競合との違いを復習できるようにする

手順1：NotebookLMに資料をアップロード

NotebookLMにアクセスし、新しいノートブックを作成します。

NotebookLM（https://notebooklm.google.com/）にアクセス
「新しいノートブック」をクリック
「ソースを追加」から、営業資料をアップロード

📌 対応しているファイル形式（2025年11月最新）

PDF
Google ドキュメント
Googleスライド
Google スプレッドシート
テキストファイル（txt、md）
Webサイト（URLを貼り付け）
YouTube動画（URLを貼り付け）
画像（png、jpgなど手書きメモやパンフレットの写真も可）

今回は、製品カタログ（PDF）と競合比較資料（Google ドキュメント）の2つをアップロードしました。

手順2：音声解説を生成

資料をアップロードしたら、右上の「ノートブックガイド」から「音声解説」をクリックします。

生成にかかる時間：約3〜5分（資料の量による）

生成が完了すると、自動的に音声が再生されます。

👉 音声の長さ：今回は約8分の音声解説が生成されました。

4. 音声解説のカスタマイズ機能で営業トレーニングを最適化

NotebookLMの音声解説は、生成前にカスタマイズがすることが可能です。
営業トレーニングの目的に応じて、音声の内容を調整できます。

カスタマイズできる項目

音声解説を生成する前に、「音声解説をカスタマイズ」をクリックすると、以下の項目を設定できます。

1. 形式（4つから選択）

詳細：2人のホストによる活発な会話で、ソース内のトピックを掘り下げて関連付けます
→ 営業トレーニングに最適。製品知識を深く理解したい場合に推奨

概要：ソースの概要を短くまとめ、要点をすばやく把握できます
→ 商談前の短時間復習に最適

評論：ソースの専門家によるレビューから、資料の改善に役立つ建設的なフィードバックが得られます
→ 提案書のブラッシュアップに活用

議論：2人のホストによる思慮深い議論で、ソースに関するさまざまな観点を明らかにします
→ 競合比較や、異なる視点での分析に有効

2. 言語

日本語を含む複数の言語に対応しています。

3. 長さ

短め：約5分程度
デフォルト：約8〜10分程度

移動時間や学習目的に応じて選択できます。

4. このエピソードでAIホストが焦点を当てるべきこと

👉 ここがもっとも重要なポイントです。

自由記述のテキストボックスに、AIホストに指示したい内容を記載できます。

📌 営業トレーニングでの活用例

次の方法を試してみましょう。

* 特定の情報源に焦点を当てる（「製品カタログだけを取り上げる」）
* 特定のトピックに焦点を当てる（「競合製品との価格比較についてだけ説明する」）
* 特定のユーザーをターゲットにする（「営業経験1年目の新人に説明する」）

実際に試したプロンプト例

このエピソードでは、営業経験1年目の新人向けに、製品の主要な機能と競合製品との違いを分かりやすく説明してください。

特に、顧客から質問されやすい「価格」「導入期間」「サポート体制」の3点を重点的に扱ってください。

このように指示すると、AIホストが新人営業向けに、商談で必要な情報を重点的に解説してくれます。

5. 実際の音声解説を聞いてみた結果

良かった点

会話形式で理解しやすい
→ 2人のホストが交互に話すため、一方的な説明よりも頭に入りやすい

重要なポイントを繰り返してくれる
→ 「つまり、この製品の強みは〜」「さっきの話に戻ると〜」など、要点を何度も確認してくれる

自然な日本語
→ 機械的な読み上げではなく、自然な会話調で聞きやすい

移動中に最適
→ 電車やタクシーの中で、画面を見ずに学習できる

気になった点（失敗例）

失敗例1：「詳細」形式を選んだら長すぎた

最初に「詳細」形式＋「デフォルト」の長さで生成したところ、約15分の音声が生成されました。
移動時間が短い場合は、「概要」形式＋「短め」の組み合わせの方が実用的です。

✅ 改善策

商談直前の復習：「概要」＋「短め」（約5分）
新人の初回学習：「詳細」＋「デフォルト」（約10〜15分）

失敗例2：焦点の指示が曖昧すぎた

最初は「営業に役立つ情報を説明してください」という曖昧な指示をしたところ、AIホストが全体をざっくり説明するだけで、具体的な商談シーンで使える情報が不足していました。

✅ 改善策

具体的な指示を出すことで、音声の内容が大幅に改善されました。

⚠️ 改善前

営業に役立つ情報を説明してください

📌 改善後

営業経験1年目の新人向けに、以下の3点を重点的に説明してください。

1. 製品の主要な機能（顧客にどんなメリットがあるか）
2. 競合製品との価格・機能の違い
3. 導入後のサポート体制（顧客の不安を解消する情報）

このように、誰に向けて、何を重点的に説明してほしいかを明確にすることで、営業トレーニングに直結する音声解説が生成されます。

失敗例3：ロープレの議事録をそのまま入れたら、会話が迷子になった

「ロープレの音声化は便利そうだ」と思い、先輩と新人のロープレ議事録（テキスト）をそのままNotebookLMにアップロードして、音声解説を生成してみました。

ところが、AIホストが

「Aさん（上司役）はこう言いました」
「Bさん（新人役）はこう返しました」
「次にAさんはこう返答しました」

と、議事録をそのまま読み上げるだけになってしまいました。

これでは、ただの「議事録の朗読」であって、「営業トレーニング」にはなりません。

⚠️ 何が問題だったのか

カスタマイズ機能を使わず、資料をアップロードしただけで音声を生成してしまったため、AIホストが「どう解説すべきか」を理解できませんでした。

✅ 改善策

議事録をそのまま入れるのではなく、カスタマイズ機能の「焦点」で、以下のように具体的に指示します。

この議事録から、新人Bが改善すべきトークのポイントを3点挙げて、それぞれについて「どう改善すれば良かったか」を具体的に解説してください。
特に以下の観点で分析してください。

1. 顧客の課題をヒアリングする質問の仕方
2. 製品の価値を伝えるトーク（ベネフィット訴求）
3. クロージングのタイミングと言い回し

このように指示すると、AIホストが議事録を分析し、「新人Bは、最初の質問で顧客の課題を深掘りできていませんでした。
もっと『具体的に、どのような場面で困っていますか？』と聞くべきでした」といった、学習に役立つ解説をしてくれます。

👉 教訓

NotebookLMの音声解説は、資料をただアップロードするだけでは不十分です。
カスタマイズ機能の「焦点」で、AIホストに何を解説してほしいかを明確に指示することが、営業トレーニングの質を左右します。

6. 営業トレーニングでの実践的な活用方法

活用シーン1：新人育成「商品知識の音声教材化」

⚠️ Before

新人に商品カタログを渡して「読んでおいて」と指示
実際には読む時間がなく、商談で説明できない
先輩が口頭で説明する時間も取れない

✅ After

商品カタログをNotebookLMにアップロード
「営業経験1年目の新人向けに、製品の主要な機能と競合との違いを説明してください」と指示
生成された音声を新人に共有（Google ドライブで配布）
移動中に繰り返し聞くことで、商品知識が定着

💡 時短効果

新人が「商品カタログを読む時間」を確保する必要がなくなり、移動中の隙間時間で学習が完結。先輩が口頭で説明する時間も削減できます。

活用シーン2：商談前の予習「競合比較の復習」

⚠️ Before

商談前に競合比較資料を読み返す時間がない
顧客から「A社の製品との違いは？」と聞かれて、うまく答えられない

✅ After

競合比較資料をNotebookLMにアップロード
「A社製品との価格・機能の違いを重点的に説明してください」と指示
商談前の移動中に音声を聞いて、ポイントを復習

📌 実用的なプロンプト例

このエピソードでは、A社製品との比較について、以下の3点を重点的に説明してください。

1. 価格の違い（当社の方が安い理由）
2. 機能の違い（当社の独自機能）
3. 導入実績の違い（当社の強み）

活用シーン3：ロープレの音声化「営業トークの練習」

⚠️ Before

ロープレの音声を録音しても、聞き返す時間がない
先輩の営業トークを見学しても、メモを取るだけで終わる

✅ After

ロープレの議事録やトップセールスの商談メモをNotebookLMにアップロード
「営業トークのポイントを対話形式で解説してください」と指示
音声化することで、移動中に繰り返し聞ける

📌 実用的なプロンプト例

このエピソードでは、トップセールスの商談メモを元に、以下の3点を重点的に説明してください。

1. 顧客の課題をヒアリングする質問の仕方
2. 製品の価値を伝えるトーク例
3. クロージングのタイミングと言い回し

7. 他の音声学習ツールとの比較

「音声で学ぶ」ツールは他にもありますが、NotebookLMの強みは営業資料を直接アップロードできることです。

ツール	強み	営業活用の適性
NotebookLM	自社の営業資料を直接音声化、カスタマイズ可能	◎ 自社特化の学習教材作成
Voicy、Podcast	プロが作った高品質な音声コンテンツ	○ 一般的な営業スキル学習
ChatGPT音声モード	リアルタイムで質問できる	○ その場での疑問解消
読み上げアプリ（Speechify等）	PDFをそのまま読み上げ	△ 会話形式ではないので理解しにくい