Alright -オールライト-

AIがいれば全部大丈夫!営業・マーケ向けAIメディア

Alright -オールライト-

AIがいれば全部大丈夫!営業・マーケ向けAIメディア

Alright -オールライト-

AIがいれば全部大丈夫!営業・マーケ向けAIメディア

難易度の高かったコンサルティング営業をAI活用で共有・標準化する方法

schedule
投稿日:
update
更新日:
schedule
投稿:
update
更新:

1. なぜ今コンサルティング営業が求められるのか

営業の現場は、この10年で大きく変わりました。

一昔前なら「自社の商品やサービスの特徴を説明し、顧客の要望に応える」だけで、十分に勝負できた時代もありました。

しかし今はどうでしょうか。

どの業界でも製品やサービスの差別化が難しくなり、購買プロセスは複雑化、意思決定には複数部門が関与するようになっています。

この環境では、単に「製品を組み合わせて課題を解決する」ソリューション営業だけでは不十分です。

顧客が直面するのはプロセス全体の最適化や業務そのものの変革であり、その変化を伴走しながら支援できる営業スタイルが求められています。

そこで今改めて注目されるのが「コンサルティング営業(Consultative Selling)」です。

ソリューション営業が「いま抱えている問題をどう解くか」に焦点を当てるのに対し、コンサルティング営業はさらに踏み込み、「未来の在り方をどう再設計するか」という視点を持ちます。

本記事では、このコンサルティング営業の特徴を整理しつつ、AIを活用して「現状診断」「変革シナリオの設計」「ROIシミュレーション」といった実務をどう強化できるかを具体的に解説していきます。

次回予定している「インサイトセールス」「バリューセリング」との比較にもつながる基盤記事として、まずは全体像を押さえていきましょう。

2. コンサルティング営業とは?

コンサルティング営業(Consultative Selling)は、1960〜70年代にB2Bのコンサルティングが広がる中で体系化された営業スタイルです。

製品やサービスを「売る」ことよりも、顧客のビジネス全体を診断し、経営課題や業務プロセスの改善にまで踏み込んだ提案を行う点に特徴があります。

定義

一言でまとめるなら「顧客の課題を深く理解し、戦略・業務・組織にまたがる変革案を提示・伴走する営業スタイル」となります。

特徴

コンサルティング営業が持つ主な特徴は以下の3つです。

👉 1. 診断型アプローチ

表層的な要望を鵜呑みにせず、ヒアリングやデータ分析を通じて真因を探り出す。

👉 2. 長期伴走

提案して終わりではなく、導入後の運用や文化定着まで関与する。プロジェクト型の営業に近い。

👉 3. ROI・経営課題への接続

単なる業務効率化ではなく、投資対効果(ROI)やリスク低減を経営の意思決定レベルにまで翻訳して示す。

よくある誤解

コンサル用語を使って提案すればコンサルティング営業になる

→ これは形だけで、本質は課題の再定義と変革シナリオ提示にある。

無難な改善案を並べること

→ 顧客が本当に期待しているのは、いまの延長線ではなく新しいやり方の提示

コンサルティング営業は、ソリューション営業を土台にしながらも、さらに「未来の在り方を一緒に描き、実現まで伴走する」ことをミッションとしています。

3. ソリューション営業との違い

コンサルティング営業を理解するうえで避けて通れないのが、「ソリューション営業との違いは何か?」という問いです。

両者はしばしば混同されますが、焦点を当てている範囲と深さに明確な差があります。

ソリューション営業は、顧客が抱える顕在化した課題を聞き出し、最適な製品やサービスを組み合わせて「解決策」を提案するのが中心です。

一方でコンサルティング営業は、課題の再定義から入り、経営や業務の仕組みそのものを変革する提案までを含みます。

つまり「何を導入するか」ではなく「未来のやり方をどう作るか」に重きを置く点が大きな違いです。

対比表:ソリューション営業 vs コンサルティング営業

観点ソリューション営業コンサルティング営業
目的顕在課題の解決業務・組織の変革と定着
起点既存の要望や不満課題の再定義(問題の枠組みを問い直す)
提案内容製品・サービスの組み合わせ業務プロセス再設計・組織変革・戦略課題
成果根拠導入効果の事例ROIモデル・シナリオ別試算
期間案件単位(短〜中期)プログラム単位(中長期)
関係性ベンダー/取引先変革のパートナー

判断の分かれ目

「この営業はソリューション型か、コンサルティング型か?」を見極める基準はシンプルです。

導入後の定着や業務のやり方そのものの再設計まで伴走しているかどうか」。

ここに踏み込んでいるかどうかが、両者の境界線になります。

4. プロセスの基本構造

コンサルティング営業は、単発の提案ではなく「変革の伴走」を前提としたプロセスを持っています。

大きく分けると次の6ステップに整理できます。

6つのステップ

👉 1. 課題発見

顧客の声や市場動向を起点に、表面化した課題を拾い上げる。

👉 2. 現状診断

ヒアリングやデータをもとに、現状の業務・組織・仕組みを分析し、問題の真因を突き止める。

👉 3. 改善計画立案

解決策ではなく「変革シナリオ」として、短期・中期・長期の計画を構築する。

👉 4. ROI試算

コスト削減・売上増・リスク低減などの効果を定量的に見積もり、経営層に意思決定材料を提示する。

👉 5. 変革提案

新しいやり方や仕組みを提示し、意思決定者だけでなく現場にも理解と納得を促す。

👉 6. 実行伴走

導入後の定着やKPI運用をサポートし、変革が根付くまで伴走する。

落とし穴と対策

コンサルティング営業は高度なプロセスだからこそ、典型的な落とし穴も存在します。

⚠️ 診断が形骸化する

→ ヒアリングの羅列に終始しがち。

✅ 課題を「人・プロセス・テクノロジー」で分類し、因果関係を見える化することで回避できる。

⚠️ ROIが現実離れする

→ 理想的な数値だけを並べてしまうと、経営層の信頼を失う。

✅ シナリオを「ベース/楽観/悲観」の3パターンで提示することが有効。

⚠️ 提案が上から目線になる

→ 「こうすべきだ」と断定すると反発を招きやすい。

✅ 意思決定者と現場、それぞれの立場の利害を踏まえ、合意形成のステップを分けることが必要。

この6ステップを押さえることで、「課題解決」にとどまらず「変革伴走」を実現するための型を理解できます。

5. AIで強化するコンサルティング営業

コンサルティング営業は「診断→計画→ROI→伴走」という流れが特徴ですが、それぞれの段階にAIを組み込むことで、精度とスピードを大幅に引き上げられます。

特にデータの整理やシナリオ生成、ROI試算のように「構造化」が求められる場面でAIは強力なパートナーとなります。

1. 診断フェーズ:情報の構造化

AIの役割:ヒアリングメモや議事録を解析し、課題を「人・プロセス・テクノロジー」で分類したものを、表層課題と真因を分けて抽出。

営業の役割:分類された課題を確認し、現場の肌感と突き合わせて精度を担保する。

📌 プロンプト例

以下のヒアリングメモを診断し、課題を“人・プロセス・テクノロジー”の3分類に整理してください。

それぞれ表層課題/真因/影響するKPIを分けて出力してください。

2. 改善計画:シナリオの複数生成

AIの役割:短期・中期・長期の改善プランを自動生成し、施策・必要リソース・リスクをセットで提示。

営業の役割:提示されたシナリオから実現可能性の高いものを選び、顧客の文脈に合わせて調整する。

📌 プロンプト例

課題Aに対し、短期(90日)・中期(6〜12ヶ月)・長期(12ヶ月以上)の改善シナリオを生成してください。

各段階で施策・必要リソース・想定リスク・成功指標を付与してください。

3. ROIシミュレーション:経営層への根拠提示

AIの役割:売上増加・コスト削減・リスク低減を数値化し、ベース/楽観/悲観の3シナリオで試算。

営業の役割:仮定条件が現実的かどうかを調整し、経営層に納得感を与える。

📌 ROI計算の基本式

  • 追加売上=受注件数増×平均受注額×粗利率
  • コスト削減=工数削減時間×人時単価×期間
  • ROI=(追加売上+コスト削減−追加投資)÷追加投資

📌 プロンプト例

次の前提条件をもとに、ROIをベース/楽観/悲観の3シナリオで算出してください。

前提条件は表形式にまとめ、調整可能にしてください。

4. 提案資料生成:顧客ごとのストーリー最適化

AIの役割:経営層向けには1枚サマリ、現場向けにはToDoリスト、FAQまで自動生成。

営業の役割:顧客組織の文化や意思決定の癖に合わせてストーリーをカスタマイズ。

📌 プロンプト例

役員向けに1枚で“課題の再定義→打ち手→ROI→リスク→次アクション”を要約してください。

最後に、意思決定に必要な前提条件を明記してください。

5. 実行伴走:定着ダッシュボード

AIの役割:KPIの達成度を可視化し、異常値を検知したらアラート。

営業の役割:AIが提示した兆候をもとに顧客と改善策を合意形成。

例:

  • 先行指標:リードタイム、採用進捗
  • 遅行指標:売上、解約率
  • リスク警告:2週連続未達→改善スプリント提案

AIは「診断・設計・試算・提案」を支援することで、営業担当者がもっとも価値を発揮できる「信頼構築と合意形成」に集中できるようになります。

6. 業界別活用イメージ

コンサルティング営業の真価は、単なる製品提案にとどまらず「業界固有の構造課題」にまで踏み込むことです。

AIを活用すれば、診断やシナリオ設計を各業界に合わせて標準化でき、提案の厚みを一段引き上げられます。

IT・SaaS業界

変革テーマ:導入効果を「定着」まで伴走し、NRR(Net Revenue Retention)を高める

AI活用シーン:オンボーディングデータやQBR(四半期レビュー)の議事録を分析し、解約兆候や追加提案の機会を抽出

成果指標:定着率、NRR改善率、解約率低減

📌 プロンプト例

顧客オンボーディングのログを分析し、解約リスクを示す兆候を抽出してください。

改善スプリントを3案提示し、NRRへの影響度順に並べてください。

製造業

変革テーマ:工程改革やサプライチェーン再設計によるコスト最適化

AI活用シーン:不良要因や工程データを分析し、設備・人・材料ごとの改善余地を定量化

成果指標:リードタイム短縮率、不良率改善、原価低減額

📌 プロンプト例

生産データを基に、不良要因を設備・人・材料で分類してください。

それぞれの要因がCT(サイクルタイム)とQ(品質)にどの程度影響するか感度分析を行い、改善優先度を出力してください。

不動産業

変革テーマ:物件単体の価値だけでなく、顧客のライフプラン全体を最適化

AI活用シーン:収支シミュレーションやリスクシナリオをAIが算出し、資産価値とキャッシュフローを両面から検討

成果指標:NOI(営業純利益)、キャッシュフロー改善額、資産価値上昇率

📌 プロンプト例

物件収益データと顧客家計データを入力し、NOI最大化と可処分所得最大化の両シナリオを描き、選択肢を比較できる意思決定ツリーを作成してください。

小売・EC業界

変革テーマ:CRM・在庫・広告を統合した全体最適化

AI活用シーン:SKU別の在庫回転率と粗利を分析し、伸び筋商品の追加施策と死筋商品の処分施策を提案

成果指標:在庫回転率、粗利率、LTV(顧客生涯価値)

📌 プロンプト例

SKU別に在庫回転率と粗利貢献度を散布図化し、死筋商品の処分案と伸び筋商品の増産案を優先度順に提案してください。

業界ごとの変革テーマにAIを当てはめることで、従来はシニア営業にしかできなかった伴走型提案を、チーム全体で再現可能にしていけます。

7. 合意形成と実行伴走:上から目線を避ける運び方

コンサルティング営業は「変革提案」で終わりではなく、顧客組織に実際に定着させるところまでが仕事です。

ここで重要になるのが合意形成の進め方伴走の姿勢です。

どれほど優れた診断やROI試算を示しても、組織の利害を整理できなければ実行には至りません。

ステークホルダーマッピング

  • 決裁層(経営層・役員):ROI・リスク管理・全体戦略との整合を重視
  • 現場担当者:日々の業務負荷・運用のしやすさを重視
  • IT部門:システム連携やセキュリティ要件を重視
  • 財務部門:コスト配分・投資回収期間を重視

👉 それぞれの関心ごとに合わせた資料を用意することで「全方位型の合意形成」が可能になります。

反論ポイントの先回り

よく出る懸念は次の4つに集約されます。

  1. 費用が高いのではないか
  2. 人員負荷が大きすぎるのではないか
  3. 想定リスクに対応できるのか
  4. 社内文化になじむのか

AIを活用すれば、想定される反論ごとにFAQを自動生成し、営業は人間的な納得感を補う説明に集中できます。

小さく始めて早く示す

  • 90日パイロット → スケール展開の流れを設計することで、関係者が「まずやってみよう」と言いやすくなる。
  • AIはパイロットの効果測定を自動化し、改善点を抽出し、営業はその結果をもとに拡大フェーズの合意形成を進める。

チェックリスト:合意形成に入る前に確認すべき3点

  • ☐ 役員向け1枚サマリ、現場向けToDoリスト、財務向けROI試算の3点セットを用意したか?
  • ☐ ROI試算はベース/楽観/悲観の3シナリオで提示しているか?
  • ☐ 成果と学びを週次ログで共有する仕組みを設計しているか?

こうした合意形成の工夫によって、「AIが出した提案」ではなく「自分たちの意思決定」として顧客が腹落ちできる状態を作り出すことができます。

8. 変革伴走をAIで民主化する

コンサルティング営業は「高度なスキルを持つごく一部の営業ができる特別なアプローチ」と考えられがちです。

しかしAIを活用すれば、そのエッセンスを標準化し、チーム全体に広げていくことが可能になります。

  • 診断では、ヒアリングメモやデータをAIが整理し、課題を構造化。
  • 改善計画では、短期・中期・長期の複数シナリオを生成。
  • ROI試算では、数値根拠をシミュレーションし、意思決定を支援。
  • 提案・伴走では、関係者別の資料や定着支援ログを自動生成。

営業担当者はAIに構造化と数値化を任せることで、もっとも価値のある「信頼構築と合意形成」に集中できます。

つまり、これまでシニア層に限られていた「変革を伴走できる営業スタイル」を、AIによって民主化(誰もが実行可能にすること)できるのです。

SNSシェア

Alright編集部

star

人気タグから探す

人気記事一覧

関連カテゴリーの新着記事