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CRM無しでOK!ChatGPTと壁打ちでセールストークをデータ化する

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営業の会話をその場限りで終わらせない

営業の現場で交わされるセールストークは、ベテランの経験や瞬間的なひらめきが詰まった「現場の知恵」そのものです。

けれど、そのやりとりは多くの場合、会議室やオンライン商談が終わった瞬間に消えてしまいます。

結果として、「あの言葉が効いた」「あの流れは失敗した」という大事な気づきが、属人化したまま再利用されることなく流れていくのです。

もちろん、理想を言えばCRMやSFAに記録を残し、全社的に共有してナレッジ化するのが一番効率的です。

けれど現実には「まだツールを導入できていない」「そもそも議事録すら十分に蓄積されていない」というケースが多いのではないでしょうか。

そこで役立つのがChatGPTとの壁打ちです。

本記事では「セールストークのデータ化」を題材にしながら、ChatGPTにどう相談し、どうやりとりを重ねて自分専用の整理方法を形にしていくかを解説します。

ZoomやGoogleMeetなどを通じて、トークを文字起こしする部分については、現場に少しずつ浸透してきていると思いますので、本記事では文字起こしやデータの秘匿化については触れず、セールストークデータをAIを通じてどのように分析し役立てるかに焦点を当てます。

単なるツールの使い方ではなく、「AIに相談しながら現場に合う整理の型をつくるプロセス」こそが学びになります。

CRMや専門的なシステムがなくても、まずはこのプロセスから始めれば、営業会話はその場限りの使い捨てから積み上げられる資産へと変わっていくはずです。

1. Step1|最初の相談:背景と目的を伝える

ChatGPTに「商談ログを整理して」とだけ投げても、返ってくるのはどこかピンとこない要約や断片的なまとめになりがちです。

最初の一言目で大切なのは、背景・目的・欲しい形の3つを添えて伝えること。

例えばこんなイメージです。

  • 背景:「新人営業の教育を進めたいけれど、商談内容が属人化していて共有できていない」
  • 目的:「商談ログを整理し、育成の教材として再利用したい」
  • 欲しい形:「顧客の要望と営業側の次アクションに分けた表形式で出してほしい」

こう伝えると、ChatGPT側も「何のために」「どんな粒度で」整理すればよいかを理解しやすくなります。

ただし、ここで多くの人がつまずくのが「理想のアウトプットを描けない」という点です。

実際、「こんな整理が欲しい」というイメージをゼロから思い浮かべるのは難しいもの。

その場合は、ネットに転がっている営業議事録のフォーマットや、これまで自分が作ったメモを理想に近いサンプルとして提示すればOKです。

ChatGPTに「こういう形に近づけたい」と伝えるだけで、スタートラインが一気に整います。

さらに重要なのが「すぐに作成せず、補足点や前提を質問してください」と最初に頼むこと。

ChatGPTがこちらの意図を深掘りしてくれるので、足りない条件や前提を引き出せます。

例:

このログを新人教育用に整理したいです。

顧客要望と次アクションに分けて表にしてください。

ただし、すぐに出力せず、私に確認したい点や補足があればまず質問してください。

こう伝えると

  • ログが長い場合は要約しますか?
  • 顧客の発言と営業の発言は分けて表示しますか?

といったやり取りが生まれ、自分では気づけなかった要件の穴が浮き彫りになります。

この「質問タイム」を挟むことこそ、壁打ちを成功させる第一歩です。

2. Step2|返答への返し方:壁打ちで調整する

最初の相談で「背景・目的・欲しい形」を伝え、ChatGPTに「作成前に質問して」とお願いすると、前述したようないくつか補足確認が返ってきます。

その後に出てくる初回アウトプットは、まだ理想形とは限りません。

ここからは「Yes/Noで終わらせない調整リクエスト」を投げる番です。

  • 列を3つに絞ってください
  • 顧客要望だけは太字にしてください
  • 一文を短くして、箇条書きにしてください
  • 冒頭10分とクロージング部分だけを抽出してください

といった具合に、小さな改善を積み重ねる感覚で進めていきます。

すると最初はぼんやりしていた欲しい形が、やりとりを重ねるうちに段々と具体化していきます。

つまり壁打ちは、ChatGPTに完璧な指示を出す作業ではなく、対話を通じて一緒に形を育てるプロセスなのです。

3. Step3|理想形をテンプレ化する

壁打ちを重ねると、「これなら現場で使えそうだ」という整理の型が見えてきます。

ただし、ここで大事なのは「1つの形」に固執しないこと。

いくつかのフォーマットで整形して比較してみると、用途に応じて使い分けられるテンプレートが見えてきます。

アウトプット例①:顧客要望と次アクションに分けた表

顧客要望次アクション
導入コストを抑えたい初期費用と月額プランの2案を提示
セキュリティが不安セキュリティ要件のチェックリストを送付

👉 新人教育や商談レビューで「要望にどう応答したか」を見返すのに最適。

アウトプット例②:営業と顧客の発言を行ごとに並べた一覧

発言者発話内容
顧客「競合他社も検討しています」
営業「比較する際の基準はどの点を重視されていますか?」
顧客「導入工数とサポート体制ですね」
営業「では工数削減の具体例をお示しします」

👉 会話の流れを追いやすく、「切り返しのタイミング」を振り返るのに有効。

アウトプット例③:一文を短く整形した箇条書き

  • 顧客:コストを抑えたい
  • 営業:初期費用と月額案を提示
  • 顧客:セキュリティが不安
  • 営業:要件チェックリストを送付

👉 簡易メモとして振り返る時や、ロープレ教材にする時に便利。

こうして同じ商談ログでも、整形の仕方を変えると「見える気づき」が違ってくるのです。

だからこそ、ChatGPTに「いくつかの形式で出してください」と依頼し、比較してから「この形をテンプレ化したい」と指定するのがおすすめです。

👉 その結果完成したテンプレートは、

  • 新人向けOJTでは箇条書き版
  • マネージャーのレビューでは発言一覧版
  • 教材やFAQ化では要望×アクション版

といった具合に、用途に合わせて使い分けられる資産になります。

4. Step4|出来上がったものを過信しない

壁打ちを繰り返して理想形に近いテンプレートができあがると、「よし、これでもう完成だ」と思いがちです。

しかし、ここで大切なのは「出来上がったものを過信しない」こと。

なぜなら、ChatGPTが作る整理フォーマットは前提条件に大きく依存するからです。

少し内容が違ったり、商談が複雑になったりすると、途端に形が崩れることは珍しくありません。

典型的に「崩れる」ケース

1. 案件タイプが違う

  • 新規開拓ログではうまく整理できたのに、既存顧客フォローのログでは要望と次アクションがごちゃ混ぜになる

2. トークのテイストが違う

  • カジュアルに雑談が多い商談では、要望抽出が甘くなる
  • 逆にフォーマルすぎる会話では、重要ポイントが前置きの長文に埋もれる

3. 内容の厚みが違う

  • シンプルな10分商談なら正しく整理できても、1時間を超える商談では「途中で要約が雑になる」「重要な発言が抜け落ちる」などのバラつきが出る

どう対応すべきか

1. 複数パターンでテストする

  • 新規/既存、短時間/長時間、カジュアル/フォーマルなど、性格の異なるログで試してみる
  • 「この形式だとどこが崩れるか」を把握するのがポイント

2. 要件漏れを洗い出す

  • 顧客要望は拾えているが、異議の切り返しが抜けている
  • 次アクションが曖昧に要約されてしまう
  • こうした「抜け」を壁打ちで補強し、プロンプトを更新する

3. 完成形を暫定版と捉える

  • テンプレートは「一度作って終わり」ではなく、「使いながら修正するもの」だと認識する
  • 何度も修正を繰り返すことが「現場適合」につながる

メッセージ

AI活用に慣れていないと、「完璧なプロンプトを探そう」としてしまいがちです。

でも実務では、完璧は存在しない

あるのは「現場に少しずつフィットしていく暫定形」です。

セールストークのデータ化においても同じで、

  • 出来上がったフォーマットを絶対視しない
  • いろんな商談に当てはめて、修正と改善を繰り返す

この姿勢こそが、営業会話を資産に変えるための本当の一歩です。

少し慣れてきたら、テンプレートを作っているスレッドとは別の新規スレッドを立ち上げ、テンプレート作成について行き詰まっているポイントを聞き直すというのも効果的です。

5. Step5|申し送りを作成する

壁打ちを経て整ったテンプレートは、そのまま使い回そうとすると忘れがち・抜けがちになります。

そこでChatGPTに「テンプレートとルールをまとめ直してほしい」と依頼し、申し送り文書を作っておくのがおすすめです。

申し送りの例

【セールストーク整理ルール】

1. 発話ごとに1行に分ける
2. 顧客と営業を区別する
3. 列は「顧客要望」「異議」「次アクション」の3つ
4. 要約は一文20文字以内で
5. 次アクションにはResponsibleとDeadlineを明記する

👉 これをChatGPTに「次回以降はこのルールに従って整理してください」と前置きすれば、毎回ゼロから説明しなくても済むようになります。

申し送りを作るメリット

  • 自分もチームメンバーも「このルールで整理すればいい」と共通理解できる
  • 案件をまたぐときに「再現性」が出る
  • CRMやSFAに載せる前段階としての「半公式フォーマット」になる

6. Step6|次案件への使い回し

申し送りとして整理ルールとテンプレートがまとまったら、いよいよ次の案件で本格的に使ってみましょう。

ここからが「点の試行」から「線の運用」へと移るフェーズです。

実践の流れ

1. 申し送りを前置きする

  • ChatGPTに新しい商談ログを投げる際、冒頭に「このログを以下のルールで整理してください」と申し送りを貼り付ける。
  • 👉 毎回ゼロから説明する必要がなく、再現性が出る。

2. 新しい案件で実行する

  • 案件Aで使ったテンプレートを、案件B・Cにも適用してみる。
  • 案件のタイプ(新規/既存、短時間/長時間、カジュアル/フォーマル)が違うほど、崩れやすいポイントが見える。

3. 出力をレビュー&修正

  • 「今回のログは要望が多いので、優先度順に並べたい」
  • 「クロージング部分だけ強調表示してほしい」
  • 👉 修正したルールは申し送りに追記して更新する。

ループを回すことで資産化する

  • 案件を重ねるごとに、申し送りはバージョンアップしていく。
  • 最初は「試行用メモ」だったものが、やがてチーム標準の整理フォーマットへ進化する。
  • これはCRMやSFAに正式に載せる前の段階でも、半公式なナレッジ資産として十分に機能する。

メッセージ

ChatGPTはGPTsやプロジェクト機能を利用しなければ「一度作ったプロンプトを覚えておく」ことはできません。

ただし、こうした機能利用は、ChatGPTをはじめとする生成AIを反復利用する段階になってから覚えれば十分です。

まずは申し送りという簡易ルールブックを用意し、それを前提に回すことが、次案件での活用の第一歩となります。

小さなループを回しながらルールを磨いていくことで、営業会話はその場限りから育つ資産へ変わっていきます。

7. 擬似対話例(ダイジェスト)

ここまでの流れをイメージしやすいように、ChatGPTとの壁打ちを疑似的に再現してみます。

実際のやりとりはもっと細かく往復しますが、全体像としてはこのように進みます。

1. 最初の相談

🙋 ユーザー

商談ログを整理したいのですが、新人教育用に使える形にできますか?

顧客要望と次アクションに分けてほしいです。

ただし、すぐに出力せず、補足点や前提条件があれば質問してください。

🤖 ChatGPT

承知しました。

いくつか確認させてください。

- 顧客と営業の発言は分けて表示しますか?
- 長文の要望は短く要約してよろしいですか?

2. 調整しながら壁打ち

🙋 ユーザー

発言は営業と顧客で分けて、要約は短くお願いします。

🤖 ChatGPT

かしこまりました。

以下のような表形式はいかがでしょうか?

| 顧客要望 | 次アクション |
| コストを抑えたい | 初期費用と月額プランを提示 |
| セキュリティが不安 | チェックリストを送付 |

🙋 ユーザー

良いですね。

次アクションにResponsibleとDeadlineも列として追加してください。

3. テンプレ化依頼

🙋 ユーザー

この形式をテンプレートとして再利用できるようにプロンプトにまとめ直してください。

🤖 ChatGPT

承知しました。

【整理ルール】

1. 発話ごとに1行に分ける
2. 顧客と営業を区別する
3. 列は『顧客要望』『次アクション』『Responsible』『Deadline』
4. 要約は一文20文字以内で」

4. 複数案件での検証

🙋 ユーザー

別の商談ログで試したら、次アクションがうまく拾えていませんでした。

🤖 ChatGPT

その場合、要件に『営業が示した具体的行動を優先的に抽出する』と追記してください。

👉 このように、「質問→出力→修正依頼→テンプレ化→検証→ルール更新」というループを回していくのが、セールストークをデータ化する基本プロセスです。

まとめ|セールストークをその場限りから育つ資産へ

営業の現場で交わされる会話は、成功のヒントや失敗の教訓がぎっしり詰まった生きた教材です。

しかし、そのままでは属人化して消えてしまい、組織として再利用されることはありません。

本記事では「セールストークのデータ化」を題材に、ChatGPTとの壁打ちを通じて整理の型を作るプロセスを紹介しました。

ポイントは次のとおりです。

  • 背景・目的・欲しい形を伝える:理想像が描けなくても、既存のフォーマットを借りれば十分
  • 壁打ちで調整する:Yes/Noではなく、小さな修正リクエストを積み重ねる
  • テンプレ化して再利用する:一度きりの出力で終わらせず、自分専用のプロンプトに昇華する
  • 過信しない:案件タイプや会話スタイルが変わると崩れるのは当たり前。複数パターンで検証が必須
  • 申し送りを残す:テンプレート+ルールをまとめて次案件に前置きすることで再現性を担保
  • 小さなループで育てる:案件を重ねながら微修正し、自社に馴染んだ整理フォーマットに育てる

CRMやSFAがなくても、まずはChatGPTとの壁打ちで「会話を資産に変える感覚」を体験することができます。

そしてこの小さな積み重ねが、いずれ大きなナレッジ基盤や育成仕組みにつながっていきます。

営業会話をその場限りの言葉で終わらせず、積み上がる資産へ。

その第一歩は、ChatGPTとのシンプルな壁打ちから始まります。

ここまでご紹介した壁打ちプロセスは、一見すると地味な「ログ整理の作業」に見えるかもしれません。

しかし実は、これは営業組織にとって大きな意味を持ちます。

データベース化によって再現性が生まれる

  • 属人化していた会話が「型」として残り、新人育成やOJTに直結する。

AI分析によって隠れたパターンが浮かび上がる

  • 成功商談と失注商談の違い、勝ち筋となるフレーズ、対応の遅れが生むリスク。
  • 人間の感覚だけでは気づけなかった差分が見えてくる。

「AIと一緒に型を育てる」経験そのものが醍醐味

  • 完成品を受け取るのではなく、壁打ちを通じて自社に合う形を一緒に作っていく。
  • これがAI活用の本質的な面白さであり、現場で使える力になる。

つまり、この小さな実験を通じて得られるのは単なる会話ログ整理ではなく、

  • 👉 「セールストークを資産化すれば勝ち筋が見える
  • 👉 「AIを使えば、それを誰でも始められる

という体験そのものです。

社内に周知する教材としても、このプロセスは非常に有効です。

  • 営業会話のデータ化ってこんなに価値があるんだ
  • AIと一緒に育てるってこういうことなんだ

そう実感できれば、ツール導入や組織的な活用にも自然と弾みがつくはずです。

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Alright編集部

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