先週に引き続き、今週もClaudeの音声対応やPerplexityのLabs発表などAI界隈では注目のアップデートが相次ぎましたが、今回はあえて「どのAIを使うか」ではなく、「AIとどう向き合うか」にフォーカスを当てたニュースを3本ピックアップしました。
営業・マーケの現場で、今後ますます身近になるであろうAIエージェント。
その導入のヒントや、将来的に市場へ与える影響、そして中小企業でも実現できる活用例まで、立ち止まって考えるきっかけになる一週間です。
1. AIの『性格』が市場を変える?エージェント経済が描く未来
エージェント同士が取引する未来、広告もサブスクも変わるかもしれない
AIエージェントが普及していく中で、消費者と企業のあいだに存在していた「説明コスト」や「乗り換えの手間」が大幅に軽減される未来が見えてきました。
たとえば、税理士を探す際に財務状況を一から説明する必要がなくなれば、サービスの比較・乗り換えが圧倒的にスムーズになります。
こうした変化のカギを握るのが、AIエージェント同士のコミュニケーションです。
すでにMCPやA2Aといった標準化の枠組みも進行しており、プロトコルを介したエージェント間対話が現実味を帯びてきています。
このような「エージェント経済」が進展すれば、プラットフォームが情報やサービスを束ねる現在の構造が崩れ、従来の広告や課金の仕組みそのものが変容していく可能性があります。
参考:JBpress『開発企業ごとにAIエージェントの性格が異なるという衝撃の事実、GPT-4oは協調的な性格、それではDeepSeekは?』より
2. ガートナーが語る、AIエージェントとの『段階的な付き合い方』
スモールスタートで個人支援から、やがては全社オーケストレーションへ
企業がAIエージェントを導入する際、いきなりすべての業務に適用するのではなく、まずは「個人の業務支援」から始めるのが現実的だと、ガートナーのアナリストは語ります。
たとえば、Microsoft CopilotやSalesforce Agentforceのようなツールを使って、日々のタスクや情報整理をサポートすることから始め、徐々に複数のエージェントが連携し、業務全体を横断的に動かす段階へと進んでいくのが理想的な流れです。
さらに将来的には、社内外の関係者(顧客やパートナー)とのやりとりも、エージェント同士が担う世界がやってくるかもしれません。
こうした変化に備えるには、「AIに仕事を奪われる」と構えるのではなく、「使いこなすことで仕事を拡張できる」という前向きな捉え方が大切です。
参考:ZDNET Japan『AIエージェントは企業にどう入っていくのか-ガートナーに聞いてみた』より
3. データ人材ゼロでも『自走』できた地方企業の挑戦
ノーコードツールと伴走支援で、山口の中小企業がAI予測モデルを構築
AI活用と聞くと、「専門人材がいないと無理」と感じる中小企業も多いかもしれません。
そんな中、山口県の住吉工業が見せたのは、ノーコードツール+支援体制による『自走』のモデルケースでした。
同社は水質管理業務の効率化を目指し、NTT ComのノーコードAIツール「Node-AI」と伴走支援を活用。
15年分の時系列データから、pH値を予測するAIモデルを構築し、年間504時間の労務削減を実現する見込みです。
このような取り組みは、データ専門人材がいなくてもAI活用を進められる可能性を示しています。
ただし、補助金や支援付きの導入であったことから、他企業にとって再現性があるかは慎重に見極める必要がありそうです。
参考:TECH.ASCII.jp『データ専門人材ゼロでもできる 地方中小企業が「AI予測モデル」開発に成功した理由』より
今回紹介した3つの視点は、いずれも「AIとどう付き合うか」を考える上で示唆に富んだ内容ばかりです。
自社のエージェントはどんな性格をしているのか。
今の業務はどこまで任せられるのか。
そして、自社や取引先が次の一歩を踏み出すにはどんな支援が必要なのか。
そんな問いを持ち帰る一週間になりそうです。